性別適合手術について思うこと-その1-

何れの手術にも言えることですが、今回は特に、陰茎形成について、一部少し書き留めておきます。

移植手術によって行われる陰茎形成。
日本は、子宮卵巣摘出手術までさえ終えれば、戸籍上の性別を、【女性→男性】に変更できることもあり、この最終段階の陰茎形成まで受ける方、もしくは望む方、視野に入れる方は、決して多くはないと思いますが、《性同一性障害と診断する》という診断書を手に入れ、その後恰も当然の如く、この性別適合手術を受ける当事者が多く見受けられるので、もっとこの《性別適合手術》の現実や事実を知って頂きたく思うのも、ここに記載する一つの本音です。

FTM当事者であれば、巷で良く言われる、手術に関する様々なリスク等を、少なくとも耳にしたことがあったり、もしくは、話したこともあるでしょう。
しかし恐縮ですが、今まで何人とこの形成手術のお世話を一番身近でさせて頂き、担当して下さった医師の先生方と、頻繁にお話をさせて頂いてきた一人として言えることは、世の中に出回っている内容等が、如何に浅はかであるかということです。

陰茎形成手術において言われる主なリスクは、【形成された陰茎の壊死】【感染症】【炎症】【尿漏れ】【尿道狭窄】【合併症】、その他諸々。
大手術ですので、術後投与される薬や、服用することになる薬一つとっても、今まで服用した事がなければ、投与を受けたことがなければ、薬のアレルギーを起こす可能性も否めませんし、また、色々薬を服用することで、体調が優れなくなる可能性もあります。
この術後、頻繁に請われる薬は痛み止めですが、頻度が多くなると、吐き気を催したり等の症状も伴うので、こう言った症状が伴うこともまた、術後追わざるを得ないリスクの一つと言えるかと思います。

挙げれば正直切りがありませんが、この術後は基本的には10日間ベッド上に仰向けに寝たきりの入院生活になり、また新たな身体の一部となった、形成された陰茎のポジションを正しく保ち、決して血流を阻害するようなことにならないよう、まともに座って食事を摂ることは、術後から日が浅い内は、避けなければならないことの一つになりますが、寝たきりで食事をとることで、食べ物が喉を通り辛かったり、胸やけを起こしたり、寝たきりが長いことが原因で、身体全体の血流も正常ではなくなるため、頭痛が伴ったり、肩や腰の凝りに悩まされたり、また脚をハの字型に開いた状態を常に保たなければならないため、股関節に痛みが伴ったり、寝たきりで筋肉の働きが活発ではなくなるため、深部静脈血栓症を血栓症を生じる可能性も否めず、ただただ手術部位のみに関する心配や不安だけで、到底済まされるような術後ではありません。

手術を受ける患者は、こう言ったリスクを負いたくないと一心に願い、そして医師は、こう言った事態に至らないよう、尽力し執刀して下さいますが、これらのリスクは、どれだけ願おうが、ベストを尽くそうが、その願いや力を尽くす度合いに関わらず、起こる時は起こってしまう事態です。

だからこそ、医師と患者の間には、信頼関係が大切です。
《会ったこともない、手術日前日に初顔合わせ者同士に信頼関係なんて、軽々しい》
こう思われる方もいるかもしれませんが、逆に信頼とは、それだけ決心がいることであるということでもあります。
もし医師と患者の間に、この信頼がなければ、手術に伴わざるを得ないこのリスクと言われる決して思わしくない状態が、患者の身体に生じた場合、《医師が失敗した》とか、《医師がヘタクソだった》とか、こういう思いが込み上げてきてしまうものです。

また変な言い方かもしれませんが、こう言った手術を受けるに当たり、ただただ患者がひたすら医師に信頼を置くのみではなく、医師がこう言った特殊な手術を執刀して下さるのは、ある意味医師も、その患者のことを信頼しているかではないかと、少なくとも僕はこう思います。
【こう言った手術に伴うリスクを承知しているだろう】【如何に困難な手術か理解しているだろう】【術後如何に大変な入院生活だとしても、頑張ってくれるだろう】と、医師は患者を信頼するからこそ、メスを握ってくれる。
手術前にサインをする《手術同意書》が、目に見える信頼の証の一つでもあると思います。
何故なら、手術同意書を読んで、説明を受けて、患者自身が【やっぱり嫌だ】と、サインをせず、手術を拒むこともできるわけで、誰一人として、その気持ちを詰ったり、もしくは強制する人はいないのですから。

また挙げられる様々なリスクの起因は、一言では大変言い難いものがあります。
病気一つしたことがないからと言って、この術後の経過が順調とは言えません。
年齢が若いからと言って、術後順調に回復するとは限りません。

この陰茎形成手術は、ただ闇雲に、肉片を陰茎状に形成して股間に付けるだけではなく、この陰茎を新たな身体の一部とするために、血管が繋がれ、神経も繋がれます。
そしてこの血管一つとっても、十人十色。
血管の作りの状態、太さや長さや、血管壁の厚さ、血流の具合等、予め目には見えない部分まで大いに関係する手術で、流石に医師でも、手術を開始してみなければ、この患者の血管の状態の詳細までは知り得ないものです。
血管壁が薄い場合、特殊な顕微鏡で血管を繋ぐマイクロサージャリーで、繋いでも破れ、また繋いでも、縫い目から血が滲み、再度繋ぎ直してを、一度の陰茎形成手術中に数回繰り返すケースもあります。

ここには書ききれないことがまだたくさんありますが、陰茎形成のみではなく何れの手術においても、一人一人違う身体がかかっていることであるということをよくよく踏まえて、一概に、術後の経過が順調だった友人や知り合いの事柄のみを参考にすることがないよう、浅はかな知識や見解で、軽々しく手術を評価することがないよう、こう切に願います。

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