移植手術の現実

現在入院中の、術後8日目になるK君を含めて、今年1月から今日までで、ヤンヒー病院での前腕部皮弁陰茎形成手術に関する手術(膣閉鎖尿道延長/前腕部尿道形成/前腕部皮弁陰茎形成)を受ける患者さん9名のサポートに当たらせて頂いております。
こう言った手術を受ける方の術後のサポートは、基本的には、僕はヤンヒー病院に毎日泊まり込み(泊まり込みと言っても、四六時中病室にいるのではなく、食事を摂りに等外出はします)、お世話に当たらせて頂いているおかげで、この手術において世界的にも名医であるスキット先生に、直接色々なお話を伺い、様々な知識を得る、大変有り難い機会となっております。
今日もまた、貴重なお時間を頂き、大変詳しく質問に答えて下さいました。

今日スキット先生と話したいと思ったキッカケは、実は最近、以前前腕部にカテーテルを通して尿道を形成する手術の際にお世話に当たらせて頂いた方が、カテーテルを通している部分に感染症を起こしてしまいました。
日本で手当てを受けていましたが、一番最初に診てもらった医師の見当違いが原因で、症状の悪化が進んでしまい、入院までして新たな医師の手当てを受けていましたが、どうにも不安だということで、急遽タイに来ることにしました。
手術前診察時に、良くも悪くも、様々な可能性があるというお話をスキット先生から聞きました。
どんな可能性があろうが、現状を治癒させることが先決なので、全てをスキット先生に託し、この方は手術に臨みました。
結果は、不本意にも非常に残念な結果となり、今後の陰茎形成に備えて、カテーテルを通して尿道を形成していた部分は、カテーテルは抜かれ、カテーテルが貫通していた部分は、縫って閉じられていました。
要するに、内部のダメージは思った以上に状況は悪く、この状態を生かし続けることは不可能であり、またこれだけダメージを受けた部位で、陰茎を形成すると、通常以上に様々なリスクを負わざるを得ない結果になってしまうから。
回診時に、手術中の様子や、今後のこと等話がされましたが、この方は職業上、右前腕部を使うことはどうしても避けたく、また他の部位からの皮弁法での陰茎形成は、形成される陰茎のサイズ等から全く視野に入れていないという事で、本当に受けたい手術ではあるけど、仕事を優先して断念するという選択肢を選ばざるを得ないという、こんな究極な話にまで至りました。
この時に、思わずスキット先生に聞きました。
僕の右前腕部を使えないものかと。。。
そうすれば、この方は、自身の右前腕部を使うことなく、念願の陰茎形成に臨める。
しかし、やはり、他人の身体の部位は、様々な理由から使えないという答えでした。

でもアメリカでは。。。
アフガン等の戦闘で、陰茎を失った兵士が、脳死者からの陰茎移植手術を受けたり、最も新しい内容は、陰嚢までも移植されるようになったというニュースを見たことがありました。
そこで今日はスキット先生に、こう言った移植手術について尋ねたかったのです。

スキット先生は、看護婦でも、また医師でもない僕に、大変詳しく教えて下さいました。
今では様々な部位の移植が可能な時代であり、タイ国内ではないが、性器の移植は事実あると。
ただこう言った移植手術は、ただただドナーから提供された陰茎を、希望者に付けるだけでは終わらないし、また、それを実行するまでにも、ドナーと移植希望者の様々な点が合うか否か等慎重に見る必要があり、何人もの医師でチームを組み、途轍もない時間をかけて慎重に準備を整えなければならない、性別適合手術とは比にならない大手術であるということを、教えて下さいました。
また、もし幸い、この移植手術自体が無事に終わったとしても、移植された組織が腐ったり、拒絶反応を起こしたり、機能を損なったりしないように、患者は一生、そのために必要な薬を服用し続けなければならないと。
また、男性器の移植を夢見るFTM当事者には悲報かもしれませんが、男性患者に男性ドナーの陰茎の移植は可能であるが、FTMには不可能だと、もしそれが実現するとしてみ、きっとそれは、僕は勿論、篤司も、もうこの世にはいないようなまだまだ先の時代になるだろうと。
要するに、男性も女性も、人間としては同じですが、身体の作りや、身体を成すそれぞれの部位の構造は違うため、男性ドナーから陰茎の提供を受けても、FTMの股間への移植は、現代ではできないとのことです。

こう言った話の他、僕が陰茎形成手術を受けた10年前と今の手術方法の違いについてや、開腹/腹腔鏡/膣式の各子宮卵巣摘出手術後のマイクロサージャーリーに伴う困難の違い等々、約30分ものお時間を頂き、スキット先生からお話を伺いました。

10年前、このスキット先生に、自分の身体に足りない!足りない!と、長年不満に思ってきた自分の身体に、念願の男性器を形成してもらいました。

ただ名医というだけではなく、スキット先生のお人柄を知れば知るほど、僕は、この先生に手術をしてもらえて、本当に幸せ者だと、こう感じます。

【手術自体は、医者なら誰でもできる。
しかし大切なのは、何通りとある術後起こり得る様々リスクへの対処方法を心得ているか否かだ。】
こう言う言葉からも、スキット先生という方は、如何に、使命感を持った責任感の強い医師であるかと言うことを、察して頂けるかと思います。

スキット先生、いつもご教授頂き、本当にありがとうございます。

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